医師免許でできること。医療現場以外で活躍できる場所とは
医師として長年臨床に携わってきた方でも、将来のキャリアをどうしていくのか、検討することもあるでしょう。
近年、医師の働き方は多様化しており、臨床以外の働き方に興味を持つ方もいるのではないでしょうか。
実は、医師免許でできることは多岐にわたっています。
この記事では、医師免許やこれまでの経験を活かせる臨床医以外の選択肢について、働く場所や仕事内容、魅力・やりがいなども含めて説明します。
ぜひ、今後のキャリアを考えるうえでの参考にしてください。
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医師免許でできること【医療現場以外の仕事】
まずは、働く場所という観点で見ていきましょう。
医療現場以外で医師免許が活かせる仕事をご紹介します。
メディカルドクター
メディカルドクターは、製薬企業や医療機器メーカーなど企業で働く医師です。
新薬開発における臨床試験や安全性の審査、販売支援、医療機関への最新医薬情報の提供などをおこないます。
新しい医療の開発に携わるため、目の前の患者だけではなく、これまで治療が困難であった多くの患者に貢献できる点がやりがいの一つです。
また、暦どおりの休みが一般的で、ワークライフバランスを重視して働ける仕事といえるでしょう。
医師免許以外の資格は必要ありませんが、ビジネスの世界で働くため、医師としての専門性だけでなく、ビジネススキルや英語力などが求められます。
医系技官
医系技官は、厚生労働省で働く国家公務員です。
保健医療制度の企画・立案に専門的見地から関わり、法案や予算案、制度を作成する仕事です。
厚生労働省本省のほか、検疫所や研究所、地方厚生局などでも働きます。
公的な立場で、医学的な知識を生かしながら国民全体の健康や生活を守ることができる仕事です。
医療だけでなく福祉分野に興味がある方にとっては、やりがいのある仕事といえるでしょう。
また、公務員としての安定した待遇や福利厚生も魅力の一つです。
育児休業や時短勤務などの制度が整備されており、女性の医系技官も増えています。
保険会社の社医
保険会社の社医は、保険加入者の審査をおこなう医師です。
社医の仕事は、保険加入希望者の健康状態を確認する『診査』、健康診断証明書や告知内容から加入の妥当性を判断する『引受査定』、保険金支払時の正確性・公平性などを評価する『支払査定』の大きく3つに分けられます。
社医の魅力としては、医師としての専門性を生かしながらビジネスパーソンとして働けること、ワークライフバランスを重視した働き方ができることが挙げられます。
また、一人ひとりの加入希望者と向き合い、対話することで人とのつながりを感じられるやりがいもあります。
産業医
産業医は、企業において専門的立場から労働者の健康管理をおこなう医師です。
仕事内容としては、職場の巡視、長時間労働者の面接指導、健康診断・ストレスチェックのフォロー、衛生委員会への出席、休職・復職者の面談など広範囲におよびます。
臨床医のように実際の診断・治療はおこないませんが、その分、従業員の疾病を予防するため指導・助言をおこなうといった教育的観点で仕事ができるところが特徴であり、魅力でもあるでしょう。
職場では身体面だけでなくメンタル面の不調にも気を配る必要があるため、幅広い医学的見識が求められる仕事です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、病気や怪我などで入院していた高齢要介護者の在宅復帰を支援する施設です。
老健に勤務する医師は、高齢者の健康管理や健康指導だけでなく、施設長として人材・財務管理などの施設運営、入所者や家族への相談対応もおこないます。
高齢者医療の専門家として、入所者と長期的な関係を築くことができ、医療連携や医療安全対策の推進によって高齢者医療の質を向上させられるなど、他の医療機関では経験できないスキルが身につけられます。
臨床医と比べると収入はダウンしますが、自分のペースでゆとりを持って仕事ができるでしょう。
矯正医官
矯正医官は、刑務所などの矯正施設で医療処置をおこなう医師です。
具体的には、受刑者の病気・怪我の診療や入所時と定期の健康診断を実施します。
また、施設内の感染症予防や医療機器・医薬品の管理、緊急時の対応なども重要な仕事となります。
矯正医官の魅力は、社会貢献度の高さです。
矯正施設は、犯罪者や非行少年の釈放後の支援、再犯防止まで視野に入れなければなりません。
矯正医官は、医師としての技能を活かすだけでなく、司法、医療、福祉、教育、心理などとの連携のもと、人々の安全を守る、誇りある仕事ができるでしょう。
公衆衛生医師
公衆衛生医師は、自治体の保健所や保健センターで働く公務員です。
母子保健や感染症対策、生活習慣病・がん予防、食品・環境衛生などさまざまな角度から、地域の健康課題の解決に取り組む仕事です。
地域住民の健康増進や健康危機管理にまつわるさまざまな仕事に従事し、地域包括ケアや子育て支援などの医療や福祉の施策など、幅広い分野と関わることができます。
臨床の現場で公衆衛生や予防医学の重要性を感じた方は、やりがいを感じられるでしょう。
経験を積むと所長職としてマネジメントにも携わることができます。
医師免許でできること【医師以外の仕事】
次に、職種という観点で見ていきましょう。
医師以外の仕事でも医師免許を活かすことはできますので、いくつか紹介します。
民間企業(医療関係)
医師免許を持つ方が民間企業で働くことは珍しくはありません。
医療業界以外でも医療従事者が求められる多様な職種が存在しています。
特に近年では、ITの発展により、医療系サービスに進出するベンチャー企業が増えています。
健康管理スマートフォンアプリや医療情報提供サービスの開発といったBtoCビジネス、企業の健康経営を支援するクラウドシステムの開発といったBtoBビジネスなど、医師の視点が必要とされるさまざまな領域があります。
医療現場とはまったく異なる新しい分野への挑戦は、ゼロからアイデアを生み出すワクワク感が実感できる魅力的な仕事でしょう。
研究職
基礎研究職は、大学や研究所、医薬品メーカーなどで、疾患の原因やメカニズムを解明し、治療・予防方法を研究する仕事です。
実験の計画立案から実験データの解析、論文の執筆や学会発表などをおこないます。
研究職に就くためには、大学院の博士課程に進むことが一般的で、助手や講師として働きながら研究を進めていきます。
収入面はあまり高くはありませんが、恵まれた研究環境で興味を持つ分野の研究にとことん従事できます。
数年単位の根気がいる仕事ですが、成果が出たときの達成感や喜びはひとしおでしょう。
全世界の将来の医学に貢献できる可能性がある、やりがいがある仕事です。
コンサルタント
近年、医師免許を持つコンサルタントが増えてきています。
医学分野で高い専門性を持つ医師は、多くのコンサルティングファームから採用ニーズが高い傾向です。
医師免許を活かして働く場合、病院や介護施設、製薬会社など、医療分野の企業・組織を対象に、経営・事業戦略の立案や、医療システム改善の提案などをおこなうことができます。
また、高い論理的思考力を持つ医師は、戦略コンサルタントとしても活躍できるでしょう。
さまざまな企業や業界と関わるため、広い視野を持つことができます。
加えて、経営や戦略の視点を身に付けることができ、将来的には自分でビジネスを立ち上げることも可能です。
まとめ
医師免許は医療現場での活躍に留まらず、さまざまな分野でできることが多くあります。
メディカルドクター、産業医、研究機関、コンサルティング会社など、この記事を読んだ医師の皆さんには新たなキャリアの道が開かれたことでしょう。
医師としての知識やスキルを生かし、自分自身の可能性を広げることで、より多様な価値を社会に提供できます。
医療現場以外でも、医師免許を持つことの意義と価値を確認し、未来を切り開いていきましょう。