【認定看護師】どんな分野・種類がある?どうやったらなれるの?制度についても解説
スキルアップを目指して認定看護師の資格取得を検討している看護師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とはいえ、認定看護師には具体的にどのような役割があり、どのようなメリットがあるのかなど、気になることもありますよね。
この記事では、認定看護師の役割や分野、資格を取得するための流れ、資格取得のメリットなどを解説します。
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目次
認定看護師とは?
認定看護師とは、日本看護協会が主催している審査に合格した看護師のことです。
特定の看護分野に関する知識と熟練した技術を持っており、高い水準の看護実践ができる看護師が対象となります。
認定看護師の役割は以下の3つです。
- 実践
- 専門的な知識や技術を用いた治療が必要な患者や家族に対して、高い水準の専門的な看護を実践すること。
- 指導
- 看護実践を通してほかの看護師に対して専門的な知識や技術を指導し、現場全体がレベルの高い看護を実践できるように働きかけること。
- 相談
- 一般の看護師や職員が疑問や問題に直面した際は相談に乗り、サポートをする。
自分だけでなく、職場全体のサポートをおこなうことも認定看護師の大切な役割です。
※出典:
資格認定制度 | 日本看護協会 » 認定看護師
認定看護師ってどんな看護師?│日本看護協会
【現行】認定看護師の21の分野
認定看護師には以下の21の分野が設けられており、いずれかの分野を選択して認定を受けます。
分野 | 必要な知識・技術 |
---|---|
救急看護 | ・救急医療現場での救命技術やトリアージの実践 ・災害時に必要とされる医療のケア |
皮膚・排出ケア | ・創傷管理や失禁など排泄管理 ・患者や家族に対するサポート |
集中ケア | ・患者の病態変化を予測し重篤化を防ぐ ・早期リハビリテーションの実施 |
緩和ケア | ・痛みや呼吸困難、むくみなどの苦痛を緩和 ・患者や家族の心のケア |
がん化学療法看護 | ・がん化学療法薬の安全かつ適切な取り扱い ・副作用やセルフケアのサポート |
がん性疼痛看護 | ・患者が感じる痛みの評価およびケア ・適切な薬剤を使用した疼痛ケア |
訪問看護 | ・在宅療養者の意思を尊重したセルフケアのサポート ・状況に適した看護の実践 |
感染管理 | ・感染症サーベイランスの実践 ・施設内の感染状況の評価・感染対策・管理システム構築 |
糖尿病看護 | ・血糖パターンマネジメント ・療養生活のサポート |
不妊症看護 | ・生殖医療を受ける方への情報提供とサポート |
新生児集中ケア | ・ハイリスク新生児の病態変化の予測および重篤化の予防 ・発育促進と親子関係形成のためのサポート |
透析看護 | ・安全で苦痛を感じづらい透析治療の管理 ・療養生活のセルフケアのサポート |
手術看護 | ・安全に手術を遂行するための管理 ・術前から術後までの継続的な看護 |
乳がん看護 | ・患者のセルフケアやサポート ・体の変容による心と社会問題に関するサポート |
摂食・嚥下障害看護 | ・摂食・嚥下機能の評価や身体に発生する問題の予防 ・摂食・嚥下訓練の安全かつ適切な実施 |
小児救急看護 | ・小児患者に対する適切な救命活動およびトリアージの実施 ・育児不安のサポートや子どもと親の権利擁護 |
認知症看護 | ・各期に適した療養環境の整備やケア体制構築 ・行動心理症状の予防&緩和 |
脳卒中リハビリテーション看護 | ・重篤化予防&ケア ・早期リハビリテーション・機能回復のサポート |
がん放射線治療看護 | ・治療にともなう副作用予防およびサポート ・安全かつ苦痛を感じづらい治療環境の提供 |
慢性呼吸器疾患看護 | ・患者の病期に合わせた呼吸機能の評価と管理 ・リハビリテーションやセルフケアのサポート |
慢性心不全看護 | ・患者の病期に合わせた生活環境の整備 ・心不全増悪因子に関する評価とモニタリング |
なお、こちらの分野の教育は2026年をもって終了となり、その後は新たな認定看護分野へ移行します。
【新分野】認定看護師の19の分野
新分野は2020年度から教育が開始されており、2027年度からは完全にこちらに移行します。
分野 | 特徴&必要な知識・技術 |
---|---|
感染管理 | ・感染予防・管理のシステム構築&評価&ケア ・感染兆候防止技術の導入 |
がん放射線療法看護 | ・放射線治療にともなう患者の心身のケア ・医療被曝に関する安全管理&防護技術 |
がん薬物療法看護 | ・がん化学療法薬の安全な投与・管理 ・療養生活のサポート |
緩和ケア | ・身体的・社会的な問題のケア ・家族に対する心のケア |
クリティカルケア | ・重篤化の回避&合併症の予防 ・早期回復に向けた支援 |
呼吸器疾患看護 | ・患者の病期に合わせた呼吸症状の評価&症状緩和ケア ・療養生活のサポート |
在宅ケア | ・状況に応じたケア&マネジメント ・在宅医療のセルフケアサポート |
手術看護 | ・手術中の麻酔や患者の容態などの管理 ・病態に応じた適切な対応 |
小児プライマリケア | ・救急時の小児患者に対する適切な救命技術 ・虐待の早期発見や予防 |
新生児集中ケア | ・ハイリスク新生児の病態変化の予測および重篤化予防 ・虐待の予防 |
心不全看護 | ・心不全憎悪要因のモニタリング&評価 ・症状緩和に関するサポート |
腎不全看護 | ・症状悪化の早期発見および予防 ・療養生活でのセルフケアのサポート |
生殖看護 | ・生殖医療を受けるカップルへの情報提供 ・妊娠を維持するための指導 |
摂食嚥下障害看護 | ・摂食嚥下訓練のサポート ・窒息や肺炎などのリスク管理 |
糖尿病看護 | ・血糖パターンのマネジメント ・インスリン投与に関するサポート |
乳がん看護 | ・術後の心と身体のケア ・家族に対するサポート |
認知症看護 | ・症状の段階に合わせたマネジメントおよび環境整備 ・患者のサポート |
脳卒中看護 | ・重篤化の予防とケア ・早期回復のサポート |
皮膚・排泄ケア | ・ストーマ・失禁などに関する排泄管理 ・褥瘡のケア |
認定看護師になるには?
認定看護師の審査を受けられるのは、次の受験条件を満たした方です。
- 【受験条件】
-
- 日本国内の看護師の国家資格を取得している
- 看護師免許を取得してから、通算5年以上の実務研修を受けている(そのうち3年以上は認定看護分野の実務研修であること)
- 認定看護師の教育機関でA課程もしくはB課程の教育を受けている
※A課程とは2026年をもって終了する旧制度で、615時間の教育が必要です。
B課程は2020年から教育が開始された新制度で800時間+特定行為研修の実習が必要です。
- 【受験と合格後の流れ】
-
- 認定看護師の認定審査を受ける
- 認定看護師認定証の交付・登録
- 5年ごとに認定証の更新
※更新時は、看護実践や自己研鑽の実績による書類審査があります。
【制度改正】新たな認定看護師へ移行するには?
認定看護師の制度が改正される前に認定看護師の資格を取得した場合は、下記の手順で移行が可能です。
- 特定行為研修を受講する
指定研修期間や特定行為区分の指定はありません。 - 日本看護協会へ移行手続きをする
特定行為研修以外の履修は必要なし
移行後の分野は以下のような扱いになります。
- 【移行後の分野】
-
- 現在取得している認定看護分野
- 統合した分野
- 分野名が変更された分野
現行の認定看護師資格のまま、移行しなくても問題はありません。
また、現行の認定更新審査はこれからも実施され続けます。
※出典:資格認定制度 | 日本看護協会 » 新たな認定看護師への移行
専門看護師との違いを比較
認定看護師とともに専門的な知識や高度な技術を要する資格が専門看護師です。
では、認定看護師と専門看護師の違いはどのような部分にあるのでしょうか。
表で比較してみます。
認定看護師 | 専門看護師 | |
---|---|---|
制度 | 特定の看護分野で高い水準の看護実践をおこなう | 特定の専門看護分野の知識や技術の習得 |
役割 | 実践・指導・相談 | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 |
立場 | 看護現場のスペシャリスト | 看護分野のスペシャリスト |
分野 | 21(現行)・19(新分野) | 14 |
教育 | 認定看護師教育機関にて800時間程度 | 看護系大学院修士課程にて所定の単位取得 |
認定看護師と専門看護師は役割や立場、分野が大きく異なります。
※出典:
資格認定制度 | 日本看護協会 » 認定看護師
資格認定制度 | 日本看護協会 » 専門看護師
認定看護師資格を取得するメリット
認定看護師資格を取得すると活躍の場が広まる、これからの仕事にいい影響があるなどメリットがあります。
高い専門性が身に付き活躍の場が広がる
専門性の高い知識や技術が身に付くため、患者や状況に応じてより適切なケアができるようになります。
また、認定看護師ならではの知識や技術を持っているので、一般の看護師に対する専門的な指導をしたり、勉強会やセミナーの講師を担ったり、活躍の場も広がります。
転職に有利・キャリアアップにつながる
認定看護師が有する専門的な知識や経験は転職時の強みになります。
現在転職を検討している方はもちろん、資格を持っているだけでこれから先転職したいと考えたときにも有利です。
また、資格を取得して資格手当が支給されるようになったり、主任を任されたりするケースもあります。
夜勤の回数が減る可能性がある
看護の仕事以外に、ほかの看護師への指導や講師としての仕事など日中の業務が多くなる傾向にあります。
夜勤が多いと負担がかかるため、場合によっては夜勤の回数が少なくなることもあります。
まとめ
認定看護師は特定の分野に関する専門的な知識や技術を有する看護師です。
一定の条件を満たした方が受験可能となり、日本看護協会が審査・認定します。
教育機関で教育を受ける必要はあるものの、認定看護師として認められると、一般の看護師よりも活躍できる場面が広がったり、これからの仕事に役立ったりとメリットがあります。
より専門的な分野で活躍したい、将来のことを考えてスキルアップしたいと思っている場合は、認定看護師を目指してみてはいかがでしょうか。