【医局とは】入局しない医師もいる?メリットやデメリット、医局についての基本知識を解説

白衣を着た医師たち

医学生や若手の研修医の方にとって、医局へ入局するかしないかは大きな分かれ道です。

医局を選択するか医局以外の道を選ぶかによって、自身のキャリア形成はもちろん、働き方も異なるため、慎重に検討する必要があります。

しかし「そもそも医局の仕組みとは?」「入局すると具体的に何が得られる?」など、疑問を感じる方も多いでしょう。

この記事では、医局の基本知識とともに、入局する医師と入局しない医師の割合、医局のメリット、デメリットを解説します。

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医局とは?

会議する医療従事者の男女

医局とは、大学医学部やその附属病院の診療科、研究室ごとの人事組織・団体のことです。

医学部の教授を中心に、大学附属病院の診療科の教員や医師、医学生、研修生などで構成されています。

医局の役割は、地域医療のバランスをとるために、大学附属病院や学外の関連病院などに医局員を派遣し、医師供給をおこなうことです。

また、医師は所属する診療科で外来患者や入院患者の診療をおこなうほか、医学生や研修生の教育、医療の質の向上や新たな治療に向けた研究などもおこないます。

研修医は経験を積みながら、教授の研究や学会の手伝いをする場合もあります。

医局に入局しない医師もいる

AかBか 選択肢を提示する男性医師

厚生労働省がおこなった臨床研修修了者アンケートの調査結果によると、全体の76.9%が臨床研修修了後にいずれかの医局に入局予定であると回答しています。

臨床研修修了後は、大多数の医師が医局に入局する選択をしているようです。

一方、入局する予定はないと回答したのは全体の11.8%でした。

少数派ではあるものの、医局に入らず民間病院に勤めたり、専門分野を変えたりする道を選ぶ医師もいるようです。

※出典:令和2年臨床研修修了者アンケート調査結果概要│厚生労働省

医局に入局するメリット

オッケーサインをする医師

医師の多くが一度は経験する医局ですが、入局するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。

医局のシステムならではのメリットを5つご紹介します。

働き口に困らない

医局は大学附属病院のほか関連病院が数多くあるため、働き口に困ることはまずありません。

安定した就業先を求める方にとっては、医局に入るのは大きなメリットです。

ただし、医局の関連病院は都市部に限らず、医師が足りていない地方やへき地の病院も含まれています。

働き口に困らないとはいえ、遠方の関連病院に派遣されるケースがあることも踏まえておきましょう。

専門資格が取得できる

医局には、専門医取得の研修プログラムや、上級医からの指導が受けられる環境が整っています。

専門資格は、入局しないと取得できないケースも少なくありません。

研修プログラムが受けられる基幹病院の多くは大学病院のため、専門資格の取得が目的の場合は医局に入るメリットが大きいでしょう。

地域の中核病院でも研修プログラムを実施できるよう、日本専門医機構は整備をあらためていますが、実際におこなえるかどうかは今のところ不確定です。

博士号が取得できる

博士号が取得できるのも医局で得られるメリットです。

学位授与ができるのは教授のみのため、博士号取得を目指すのであれば、医局への入局は必須でしょう。

ただし、博士号の有無は臨床の分野ではあまり重要視されません。

医療の研究や教育の道に進みたいと考えている場合はメリットになりますが、臨床分野でキャリアを築きたい方は博士号を取得しても活かせる場は少ないといえます。

さまざまな経験が積める

医局では、中小病院ではできないさまざまな経験ができるのもメリットです。

最新設備が整う環境下で、基礎研究や希少症例、高度な医療技術など、貴重な経験を多く得られます。

関連病院への派遣で幅広い症例や経験も積めるでしょう。

さらに、海外で経験を積みたい場合には留学の道も選択できます。

留学の際にサポートが得られるのも医局に入局するメリットです。

人脈づくりができる

医局には教授や准教授をはじめたくさんの医師が所属しているため、入局すれば自然と人脈づくりができます。

医局内の交流に加え、学会出席など外部との人的交流の機会も多く、民間病院に勤めるよりも医療関係のネットワークを広げられるでしょう。

多くの人脈ができれば、留学や海外の情報収集、キャリアアップに向けた相談なども可能になります。

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医局に入局するデメリット

長椅子に座る男性医師

医局は豊富な経験や人脈を広げるチャンスに恵まれているものの、デメリットが存在するのも事実です。

入局後にどのようなデメリットがあるのか5つご紹介します。

医局人事による異動がある

医局は大学附属病院以外にも関連病院が多くあり、各病院の医師供給要請や医師の成長などさまざまな理由によって、医局人事による異動があります。

場合によっては異動先が希望に沿わないケースや、1年~数年での短期間の転勤を繰り返すことも少なくありません。

異動のたびに環境が変わるため、家族がいる場合などは特に転居や生活の変化が負担となりがちです。

さまざまな病院で経験が積めるとはいえ、異動があることから医局を離れる医師もいます。

給与が低い

民間病院と比較すると、大学病院のほうが給与が低い傾向です。

大学病院では診療に加え研究や論文など、民間病院よりも業務量が多いのにも関わらず、見合った給与がもらえないことに不満を持つ医師も多々います。

また、医局人事による異動の際に、勤務先の状況によって給与が下がるケースもあります。

独身や若手のうちは経験のためと思って割り切れても、家庭を持ったり子どもが産まれたりすると、収入面の負担を感じやすくなるケースが多いのです。

派閥や人間関係に悩まされる

医局内の派閥やしがらみ、医師同士の競争など、人間関係に悩まされるのもデメリットです。

たくさんの医師が所属し、人脈が作れるとはいっても、派閥や人間関係が悪ければ円滑なコミュニケーションが取れません。

理不尽な対応を受けたり、業務の連携がスムーズにいかなかったりと、人間関係のストレスが負担となり、医局を離れる医師もいます。

仕事がきつい

医局では通常診療以外にも論文執筆や研究、教授の手伝い、学会への出席など業務量が多く多忙を極めます。

民間病院よりもさまざまな経験が積めるため、自身を成長させ将来につなげたいと前向きにとらえることも大切でしょう。

しかし、労働に見合った給与が受け取れず、体力的にもきつくなると負担になる医師が多くいます。

給与面をカバーするためにアルバイトをせざるを得ない医師もいるため、長時間勤務や労働量の多さから心身ともに疲れてしまうケースもあります。

症例数が少ない

医局では希少症例に触れられる機会はあるものの、そもそも症例数が少ないため、自分に回って来ない可能性も少なくありません。

症例数自体は民間病院のほうが多く、数多くの症例を見るなら民間病院のほうが経験できるでしょう。

まとめ

医局とは大学医学部や大学附属病院の診療科や研究室ごとの人事組織や団体のことを指し、教授を中心に教員や医師、医学生、研修生などで構成されています。

臨床研修修了後は医局に入局する医師が大半ではあるものの、入局しない選択をする医師もいます。

医局は将来に向けてさまざまな経験を積んだり、人脈作りに役立てられたりするメリットがある一方、医局人事や給与、人間関係などがデメリットになるケースも少なくありません。

医局への入局はメリットやデメリットを踏まえたうえで、自身がどのようなキャリアを築きたいのかよく検討しながら決める必要があるでしょう。

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