訪問看護とはどんな看護をしてくれるの?どんな人が向いているサービスなの?
訪問看護とは、家に看護師をはじめとする医療従事者が訪問して医療ケアをしてくれるサービスです。
訪問看護を受けることで、障害や病気を抱えながら自立して生活できている方もいます。
その一方で、「訪問看護とはどんなことをしてくれるの?」「訪問看護を受けるにはどうしたらいいの?」などの疑問を持っている方もいるでしょう。
この記事では、訪問看護で受けられる医療ケアや目的、利用できる回数などをわかりやすく解説します。
訪問看護とは?目的や利用回数、時間や費用の目安
はじめに、訪問看護がどのような目的を持っておこなわれているかや、利用できる回数、時間、費用など基礎的なことを紹介します。
病院に入院して受けられる看護と何が違うのか、比較してみてください。
訪問看護とは?目的や概要
訪問看護とは、病気やケガで、継続した医療ケアが必要な方の自宅に看護師をはじめとする医療従事者が訪問し、必要な医療ケアや診療の補助をおこなうことです。
現在、80万人以上の方が自宅で生活しながら、訪問看護を受けています。
訪問看護の内容は多岐にわたり、褥瘡の処理や人工肛門・人工膀胱の管理、がん化学療法の管理、さらに家族などへの介護、看護の支援もおこなっています。
このほか、家で最期を迎えたい方へのターミナルケアも重要な仕事です。
訪問看護の需要は年々増加しており、訪問看護の拠点となる訪問看護ステーションも増え続けています。
利用回数(訪問頻度)や時間はどのくらい?
訪問看護は、介護保険や医療保険が使えます。
医療保険を利用した場合は週に1〜3回まで、一回の訪問で最大90分までの看護が受けられます。
ただし、医師によって医療依存度の高いと判断された方は、90分を越える長時間訪問看護を週1回程度受けることが可能です。
介護保険の場合、給付限度額まで利用できるので個人によって差があります。
しかし、1回の訪問で受けられる時間は90分で、医療保険と同様です。
また、訪問看護をおこなっている事業所によって若干の違いはありますが、土曜・日曜・夜間は基本的に公的な保険を利用した訪問看護は受けられません。
ただし、厚生労働大臣が定める疾病などや気管カニューレ等の特別な管理が必要とする方や、病状の悪化などにより特別訪問看護指示期間が定められている場合、公的な保険であっても週4日以上、 1日に 2、3回など複数回の訪問看護が受けられます。
公的な保険が使える訪問看護のほかに、全額自費で受ける訪問看護サービスもあります。
費用はかかりますが24時間看護など手厚いサービスが受けられるため、公的な保険を使える訪問看護と組み合わせて使う方も多いです。
訪問看護の費用の目安や介護保険や医療保険
介護保険や医療保険を用いて訪問看護を受けた場合、かかる費用は月額の1~3割です。
病院にかかる費用と同等と考えていいでしょう。
訪問看護ステーションから看護師を派遣してもらい1回1時間の看護を受けた場合、1割負担の介護保険を利用した場合は、約823円/回、3割負担の医療保険を利用した場合は3,000円/日程度です。
なお、保険の種類や所得・年齢、どの訪問看護機関からどのサービスを受けるかによっても費用は変わってくるので、わからないことがあれば、遠慮なく聞きましょう。
このほか、全額自費の訪問看護を利用する場合、加入している民間保険が使えることもあります。
それを見越して保険選びをおこなってもいいでしょう。
訪問看護とは?看護やサービス内容を紹介
ここでは、訪問看護に従事する方や提供されるサービスの内容をより詳しく紹介します。
訪問介護を利用するためのステップも紹介するので、参考にしてください。
訪問する人はどんな資格のある人?
訪問看護に従事する方は、地域の訪問看護ステーションや医療機関から派遣される看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの医療従事者や福祉関係者です。
「訪問看護」という名前から、看護師のみができる仕事のイメージがありますが、実際はさまざまな医療従事者が訪問看護をおこなっています。
訪問看護のうち、看護が必要な場合は看護師が訪問し、リハビリテーションが必要な場合は理学療法士などが訪問します。
どのような看護がおこなわれるかは、看護を受ける方の希望やケアマネージャー、医師の判断によって決められるので、しっかりと相談することが大切です。
なお、意見が割れた場合、最終的な判断は主治医が下します。
どんな看護やサービスが受けられる?
厚生労働省が2022年に発表した、訪問看護の内容をみると、病状観察が93.6%、本人の療養指導が57.5%、リハビリテーションが52.1%等となっています。
前述したように、訪問看護の内容は多岐にわたるので、人によって受ける看護はすべて異なるといってもいいでしょう。
例えば、一口に病状観察といっても、身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事や排泄などの介助から、血圧や体温のチェックまでさまざまな項目があります。
このほか、人工呼吸器など医療機器の管理、家族への介護や看護の指導も訪問看護の一環です。
なお、訪問看護をおこなっているスタッフ全員が等しくすべての看護やサービスをできるわけではありません。
看護師はリハビリの指導はできず、言語療法士などリハビリを担当する方は医療行為はできません。
何を目的に看護を受けるのかをはっきりさせておくことも重要です。
訪問看護の相談場所:誰に相談したら受けられる?
現在、訪問看護の90%以上を訪問看護ステーションがおこなっています。
訪問看護を受けたい場合、まずは治療を受けている医療機関、近くの訪問看護ステーション、地域包括支援センター、市区町村の介護保険や障がい福祉の担当窓口などに相談しましょう。
電話やインターネットでも相談ができます。
このほか、受診している病院に相談すると提携している訪問看護ステーションを紹介してくれることもあるでしょう。
病院によっては、ソーシャルワーカーが手続きなど訪問介護を受けるのに必要な手順を教えてくれます。
訪問看護はどんな人が向いているサービス?
最後に、どのような方が訪問看護を利用するのがおすすめなのかを紹介します。
訪問看護を受けようかどうか迷っている方は、参考にしてください。
訪問看護を受けたい理由や状況は?
訪問看護を受けたきっかけは、「病気や障がいがあっても、住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最期を自宅で迎えたい」などの要望から、というケースが多いです。
現在は病気やケガをすると病院に入院して自分で生活できるまで看護を受けるのが主流です。
しかし、病状が固定されて入院をしても症状の改善が望めない場合や、余命がはっきりしている場合は、住み慣れた家で暮したい方もいるでしょう。
また、病院から退院を求められた患者の家族が「家族だけでは看護や介護できるか心配だ」といった悩みがきっかけで訪問看護を希望するケースもあります。
訪問看護を始めるきっかけや動機は?
訪問看護は、自分で完全に自立するのが不可能になったときにサービスを受け始めることが多いです。
例えば、今まで家族だけで介護していたが、症状の悪化で専門家の手が必要になった場合などがあげられます。
言い換えれば、介護・看護をしている方が病状、症状が悪化した場合はいつでも訪問看護を頼ることが可能です。
現在、介護離職や介護虐待が深刻な問題になっています。
すべてを抱え込む前に積極的に相談を受けましょう。
公的保険が使えるので、回数に限りはあるものの、比較的軽い負担で看護を受けられます。
主にどんな人が利用している?
訪問看護は性別、年齢に関わらず利用できます。
赤ちゃんから高齢者まで約80万人の方が利用しており、前述したように介護、看護の内容は多岐にわたります。
看護というと、病院で受けるような点滴や注射をイメージされる方も多いですが、褥瘡、食事、排泄などのケアも訪問看護の一環です。
また、終末のターミナルケアも訪問看護で受けられます。
末期がんの患者さんが痛みを薬剤でコントロールしながら最期を穏やかに迎えられるケアを受けている事例もあります。
このほか、介護や看護をしている家族の相談にも乗ってくれるので、いざというときにも頼りになるでしょう。
まとめ:訪問看護の詳細を理解しよう
訪問看護はすべての年代、性別で利用できるトータル医療サービスです。
高齢者や重病人しか使えないわけではありませんし、病人や高齢者の家族の相談にも乗ってくれます。
訪問看護を受けたい方は、まずは相談してみると、受けられるサービスを紹介してもらえますよ。