在宅看護とはどんな看護のこと?訪問看護との違いも解説します
高齢化社会が進むにつれ、今まで病院で受けていた看護を家で受ける方も増えています。
家で受けられる看護サービスには、「在宅看護」や「訪問看護」があります。
どちらを受けるか迷っている方や、サービスの違いを知りたい方も多いことでしょう。
この記事では、在宅看護の特徴や訪問看護、病院で受ける医療との違いなどをわかりやすく解説します。
在宅看護とは何か?病院医療や訪問看護との違い
はじめに、在宅看護の特徴や訪問看護、病院で受ける医療との違いを解説します。
在宅看護は、文字どおり住宅で受けられる看護の総称ですが、さまざまにバリエーションがあります。
在宅看護とは?主な目的は
在宅看護とは、病気や障害があって自立が難しくなった方が住宅で暮らせるように家族が中心となって看護をすることです。
病気やケガで自立した生活が難しくなった方は、今まで病院に入院してそこで医療ケアを受けるのが一般的でした。
しかし、病院に入院しても症状がこれ以上変化しにくい場合、患者さん本人も「住み慣れた住宅で生活したい」場合も多いものです。
そんな方向けに、介護士やリハビリテーションをする理学療法士のサポートをうけながら家族が中心となって看護をおこなうのが在宅医療の目的です。
在宅医療はなぜ第3の医療として注目されているのか
少子高齢化が進む現在、行政は医療政策として「長期入院にかかる医療費の抑制」や「効率的な病床の活用」を目的に、病院から在宅への療養環境の移行を後押ししています。
治療を受ける側も、症状に大きな変化がないならば住み慣れた家で過ごしたい方も多いでしょう。
しかし、家族にとっては24時間年中無休の看護は大変です。
在宅医療は家族が中心になりますが、専門知識を持った医療従事者が家族をサポートしてくれます。
そうすれば、家族は安心して看護できるでしょう。
このような理由から、在宅看護は「第3の医療」として注目を集めています。
なぜ在宅看護を選ぶの?主な対象者は?
老衰や身体の麻痺、外傷後の後遺症などで医療機関への通院が困難ですが、病状が比較的安定している方が、主な住宅医療の対象者です。
また、終末期を家族で過ごしたい方も対象者です。
病気やケガの状態が悪く、入院や通院をしていた方が症状が安定し、これ以上変化する可能性が低い場合も、在宅看護の対象になります。
ただし、在宅医療に切り替えるかどうかの選択は自分だけで判断できません。
家族とも相談し、最終的に医師の判断によって決定されます。
在宅看護と訪問看護の違い
在宅看護と訪問看護は一見すると同じように思えます。
しかし、在宅看護は家族が中心におこなうのに対し、訪問看護は看護師など医療従事者がおこなう医療行為です。
この2つは明確に区別されているわけではなく、在宅看護の一環として訪問看護を受けることもあります。
例えば、寝たきりの方の場合、家族が体位を変えるのが在宅看護であり、看護師が褥瘡のケアなどの医療措置をおこなうのが訪問看護です。
また、在宅看護は家族だけが負担するわけではなく、必要に応じてデイケアや訪問介護サービスなども受けることもできます。
このほか、在宅看護は万が一のときに備えてかかりつけ医と密に連絡を取り、病院に受け入れてもらう体制を整えておくことも重要です。
在宅医療と病院医療の違い
病院で受けられる医療とは、検査や治療をおこなう入院医療や、自宅から病院へ通いながら健康維持や治療をする通院医療のことです。
病院で受けられる医療は、治療により症状を好転させることや延命が最大の目的です。
一方、在宅医療は患者や家族の希望を優先させられます。
例えば、医療行為をおこなっても症状が好転しない場合や延命が短期間しかのぞめない場合は住み慣れた家で痛みや症状をコントロールしながら過ごすこともできます。
どちらを選ぶかは、医師や患者本人とよく話し合って決めましょう。
在宅看護のメリット・デメリットとはどんなものがある?
在宅看護には、メリットとデメリットがあります。
メリット・デメリットを知れば、在宅看護を選択するかどうか判断が付きやすくなるでしょう。
在宅看護のメリット
在宅看護最大のメリットは、住み慣れた環境で家族と一緒に心穏やかに過ごせることです。
病状が固定されていて変化する可能性が低い場合や、末期がんのように命に限りがある場合は、延命最優先の治療より患者さんの気持ちを優先する医療をおこなったほうが、ご本人だけでなく、家族にとっても幸せなこともあるでしょう。
また、入院するより在宅看護のほうが費用が抑えられることもあります。
このほか、自分のペースで生活することによりストレスが減り、症状の好転につながるケースもあります。
在宅看護のデメリット
在宅看護のデメリットとしては、家族の負担があげられます。
特に、24時間介護が必要な方が在宅看護を選択した場合、家族の負担はより大きくなるでしょう。
また、ちょっとしたことがきっかけで症状が急変する可能性がある患者さんを自宅で看護する場合、精神的な負担も増大します。
患者さん本人が在宅看護を望んでいる場合でも、家族が負担を考えて断念するケースもあるでしょう。
このほか、患者の急変に備えられない、きめ細かなケアができにくい、最先端医療を受けることが難しいなどもデメリットです。
なお、一度在宅看護を選択してもまた病院での治療を再開することも可能です。
在宅看護で受けられる医療やサービス
在宅看護は家族の負担を減らすために、利用できる医療サービスが複数あります。
ここでは、在宅看護で利用できる医療や介護のサービスを紹介します。
訪問看護や訪問サービスなど
在宅看護の利用者は、訪問看護ステーションや、医療機関の訪問看護部門に所属する訪問看護師の訪問看護を受けられます。
介護保険や医療保険を使えるので、個人負担は利用費用の1~3割です。
また、介護士やリハビリテーションをおこなう理学療法士、言語療法士などの訪問看護も受けられます。
訪問看護では看護をする家族を対象とした指導や相談も受けられるので、積極的に利用しましょう。
また、訪問看護は全額自費になりますが、24時間看護をしてくれるサービスもあります。
このようなサービスをうまく併用すれば、家族の負担を減らすことができるでしょう。
福祉用具の購入やレンタルサービスなど
在宅看護を利用している方のなかには、介護ベッド、車いすなど介護用品を利用できれば自分でできることが増える方もいます。
福祉用具の購入やレンタルサービスには、介護保険が利用可能です。
また、在宅看護に備えて自宅をリフォームした場合、介護保険より最大20万円の補助がでます。
福祉用具を利用したい、レンタルしたい方はケアマネージャーなどに相談してみてください。
まとめ:家族も快適な在宅看護生活を
在宅看護は患者さんが最後まで快適に尊厳を持って暮らせるメリットがある一方で、家族の負担がどうしても重くなりがちです。
患者さんのためと家族が我慢しすぎないよう、使えるサービスは積極的に使って在宅看護をおこないましょう。
そうすれば、患者さんのストレスも家族の負担も減らすことができます。
一人で悩まず、まずは相談してくださいね。